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劇場版AIR レビュー

出崎統が監督を務めた『劇場版AIR』がDVDになったので、劇場で見れなかった自分は早速見てまいりました。ので、レビュー。

「原作と全然違う」とか「鬼太鼓に気合入り過ぎ」とか「観鈴ちんの光るゲロ」とかかなり微妙な感想を聞いていたのでどんなもんかと内心引き気味に見ましたけど、「あー、なるほどね。それなりにまとまっていて面白いんじゃないかな」と言ったのが見終えた感想ですかね。

原作厨の自分としましては最初の10分間くらいはどうしても「おいおいwwww設定変えまくりだなwww突っ込みどころ多すぎるwww」という態度で見てしまいましたが、まぁ、そんな見方をしてしまっては素直に観れないなとも思い、原作のことはすっぱり忘れて別の作品として鑑賞し、楽しませてもらいました。

原作とは全く別物であると考えれば、結構良く出来ています。
観鈴の病気の理由や、観鈴・往人と神奈・柳也との因果を明らかにしなかった(というかほぼ全く無関係ということにした)ことで、物語をより現実的なものとしてまとめることに成功したところなどは評価したいと思います。
また、表情や動きだけに頼らずにキャラの心情をうまく引き出した映像表現もなかなかに良かったんじゃないかとも思いますね。鬼太鼓のシーンとかね。

ただ、劇中で使用される映像表現の中には何故その表現がそこで使われるのか理解出来ないものが多く、もう少し丁寧に作ってもらいたかったなといった感じを受けます。
例えば、一枚絵での止め絵や魚眼レンズ(?)風な絵などといった表現などが特に印象ものとして挙げられますが、特に劇中で多用されていた止め絵なんかは「それで何を表現したいんだよ」とやきもきさせられました。

役者(声優)さんの演技も非常に巧く、素敵でした。あ、でも太鼓叩く鬼役はどうにかして欲しかったですね。鬼太鼓は重要なシーンだったように思えますが、叩く人の中の人の演技がグダグダで。「ハァーッ」みたいな台詞だけだからって気を抜かないで、もっと鬼気迫るような迫力を出して欲しかったです。これについては心底残念。

音楽は悪くなかったと思います。特にひっかかるところは良くも悪くもなかったので。
あー、観鈴がゴールするシーンでの音楽(銀色?に変わる前のもの)は直接的過ぎる気もしましたし、「うん?」と首を捻ってしまいましたね。
晴子が観鈴の言う「ゴール」の意味に気づき、それまでの楽しい・落ち着いた気分から悲しみ・不安・恐れといったマイナスの感情に変化するのを表現したのでしょうが、僕にはしっくりきませんでした。「現実的に」というスタンスだからアレで良いのかもしれませんけれど。

ああ!気がついたら駄目だしばかりしてる文章になってしまったww
まぁ、だからといって、つまらない作品でも無いのですが。

まとめますと、良くも悪くも「現実的に」し過ぎたために、これといって考えさせられるような内容にもならなかったし、非常に感動出来るものにもならなかった作品という感じでしょうか。
HAPPYエンドでもBADエンドでも無い。物語でも無い。キャラが生きているであろう「現実」をそれなりにまとめてみた。そうした雰囲気を感じ取れる作品とも言えましょう。
他人が(の)生きている「現実」はそれなりに興味を引くものですが、それをただ漠然と提示されたとしても、観客はどうしようもありません。何らかの方策がとられない限り、それは「他人の現実」であり、「観客の現実」とは融けあわないのですから。
融合させるつもりの無いのなら、「現実」としてではなく「物語」として作品をつくり、舞台と観客の間にある溝を明らかにしてくれた方が良かったなぁ。

というわけで、この作品に対しては「面白いが、ただそれだけ」という評価をつけたいと思います。
10点中6点くらいかな?


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